妊娠中に内服しているお薬は、胎盤を通して胎児の体にも移行します。出生後、胎児の体に残ったお薬は徐々に抜けていきますが、お薬の影響で、ふるえ・傾眠(眠い状態)など様々な症状をきたすことがあり、そのことを、新生児薬物離脱症候群といいます。
症状としては、次のような症状が現れることがあります。
中枢神経系 | 傾眠(眠い状態)、振戦(震え)、筋緊張低下・増加、易刺激性、けいれん、無呼吸、不安興奮状態 |
自立神経系 | 多呼吸、多感、発熱 |
消化器系 | 嘔吐、下痢、哺乳力低下 |
その他 | 表皮剥離、欠神、徐脈 |
てんかんに関連したお薬では、下記のお薬での報告があります。
- フェノバルビタール(フェノバール®)
- フェニトイン(アレビアチン®、ヒダントール®)
- カルバマゼピン(テグレトール®)
- バルプロ酸ナトリウム(デパケン®、セレニカ®、バレリン®)
- レベチラセタム(イーケプラ®)
- ジアゼパム(セルシン®)
その他、抗うつ薬、抗不安薬の一部でも報告があります。
症状が出現した場合、適切な医療を受けることは必要ですが、数日から数週間で自然軽快することも多いと言われています。そのため、新生児薬物離脱症候群をおそれるあまり、出産前にお薬をやめることはおすすめできません。内服を減薬・中止を希望する場合は、担当の先生と十分相談をしてください。
参考)
- 伊藤真也, 村島温子 編.「妊娠と授乳 改訂3版」. 南山堂, 2020.
- 厚生労働省平成22年3月. 「重篤副作用疾患別対応マニュアル 新生児薬物離脱症候群」
- 柴田ら. Levetiracetamによる新生児薬物離脱症候群, 脳と発達, 2023, 55 巻, 1 号, p. 43-47